ブラック企業の餌食になる『受け身の意識高い系』について

某ブラックと名高い企業の創業者が自民党公認で出馬するということで、俄にブラック企業界が盛り上がっている。
安倍内閣でブラック企業対策のために問題企業の名前公表などの対策に乗り出すなど報道されているが、
本当にブラック企業対策に乗り出せるのかどうかかなり不安だ。

参院選の話は置いといて、ブラック企業について日頃疑問に思っていることがある。
なぜそんなにブラック企業は人手不足にならないのだ?

ブラック企業の一つのタイプとして、大量に採用して社員を使い捨てにするというものがあるが、
ブラック企業という評判がついても、毎年使い捨てできるほど大量採用できるのだから不思議だ。

僕の友人で危うくブラック企業に入りそうになった人がいる。
内定を2つゲットしたのだが、その2社が悪名高き有名ブラック企業。

『ブラック企業』というスラングが一般化する前とはいえ、ネットや就活界ではその当時から有名だった2社だ。
だが、そのような悪評も知らずに、面白そうなことができそうだという理由で2社を受けに行ったのだ。

結局、家族からの猛反対を受けて内定を辞退して、有名ではないが堅実な中小企業に入社した。

もう一人、ブラック企業に入った友人がいる。
ブラックが多い業界の中で特に有名なB社に入社した。
見るからに体力勝負で長い労働時間であるというのは分かりそうなものだが、そのような部分は目をつぶって入社を決めてしまったのだ。
在学中から友人たちに止めておけと再三言われていたが、自分は大丈夫だという気持ちがあったのだろう。だが今は、鬱病を罹患してしまい当時の決断を後悔している。

 

情報収集をしない、もしくは企業自身が発信する情報しか受信しない。
悪評を楽観視してリスクを過小評価する。
この二人を見てみると、大体こんな特徴を持っている。
サンプルが少なくて一般化できないことは承知だが、僕の予想では往々にしてこのような人たちがブラック企業の餌になっているのではないかと思う。

彼らには悪いのだが、情報収集力が低い。
情報収集をしないばかりでなく、会社案内などの言葉を信じてしまうタイプは危険だ。

受け身の意識高い系が餌食になりやすいのではないかと僕は思う。
僕の友人は意識高い系ではないし、ブラックに入社する人全員が意識高い系ではないのだが、
大量採用系ブラック企業の戦略として主に受け身の意識高い系を狙って採用活動をしているのだろう。

ブラック企業のよくある典型としては、夢とかグローバルなど理想が高いことが挙げられるが、
このような理想の高い言葉に流行病や中二病のように感染してしまうのが意識高い系のよくあるパターン。
ただ、意識高い系であれば情報収集は沢山行い、不相応な大企業や優良企業に果敢に挑む人が多いが、そのような積極的ではないタイプの意識高い系もいる。

積極的ではないが、大きなことはしたいという意識はある人がその予備軍だ。
もちろん誰だって大きなことは成し遂げたいという気持ちはある。
だが大きな仕事は積極的につかむという意識はなく、環境があれば自然と大きな仕事ができるようになると思っているタイプが受け身の意識高い系で、
そのようなタイプは甘い言葉にとても弱い。
甘い言葉には弱いが、厳しい言葉は避けて通る。
楽観的でリスクを過小評価しがちだ。

景気が良くなれば人材も流動的になり、ブラック企業には人が集まらなくなるだろうが、
古典的な手法の詐欺が一向に無くならないように、このようなお人好しが一定数存在する限りブラック企業も安泰だ。

企業や経営者に面白い仕事やデカイ事をやらせてくれる環境を求めるのは危険だ。
企業は利益追求の集団なのだから、利益があると判断すれば大きな仕事を任せることもあるだろうし、実際でかい仕事ができるところとできないところがあるのは確かだ。
だが、「グローバル社会の一線で一流の企業を相手に活躍できる職場」などのピロートークのような甘い言葉が実現されることは本当に稀だ。
採用された人が全員そうなるわけではなく、一線で活躍できるようになるのは厳しい競争を勝ち抜いた一握りの社員だけだ。
競争がある事自体はいいことだ。
だが、入社当時から一線で活躍して当然という気持ちでいると気持ちが折れてしまう。
人に環境を求めるのではなく誰にも環境を与えられなくとも自分で活躍する環境を作るという気持ちが無ければ、長続きはしない。

このような、他人に依存しているが大きな仕事をしたいという人を大口を開けて待っているのがブラック企業だ。
脱社畜ブログの言葉ではないが、やり甲斐を搾取しているというわけだ。

やりたいことは各々あるとは思うが、会社がそのような環境を全員に与えてくれるなんてことはない。
会社は利益によって動くのだから、場合によっては社員が割りを食わされることだってある。

このような傾向の人が餌食になりやすいといったまでで、ブラック企業に入社してしまった人全員が受け身の意識高い系というわけではない。
ブラック企業の採用手法は手が込んでいて、察知できなかった人もいる。

諸悪の根源はブラック企業ではあるのだが、社会が守ってくれなければ自分で守る以外ほかはない。
企業は社員を守ってはくれない。
企業とは距離を置いて、夢や希望を会社に依存させずに、自分のことも会社のこともシビアな目で見て
就活をして行かなければたちまち搾取されてしまう。

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