前適応 知識は複雑性を増して選択肢を広げる

最近、リアルに動く恐竜のショーを見て俄に恐竜がマイブームになっている。

皆さんもご存知の通り、鳥類は恐竜の子孫なのだが、どのように進化したのか詳しくは知らなかったので最近はそれ関連の本をよく読んでいる。

鳥類は不思議だ。
恐竜の姿と鳥を見比べてみると、なんとなくフォルムは似ているけれど
恐竜は空は飛べないし羽毛はないし、嘴もない。

いきなり空を飛ぼうとして、羽毛も翼もいきなり会得したというわけではないはず。

どういうことなのかと思ったら、羽毛恐竜なるものがいるそうだ。
息子と一緒に見ている恐竜をモチーフにした戦隊ヒーローのキョウリュウジャーに出てくる
恐竜のロボットであるガブティラは頭に申し訳程度の毛が生えている。

どうやら毛が生えている恐竜がいたらしい。
ここからだんだんと鳥に進化をしていったそうだ。

で、この羽毛は飛ぶために準備された物というわけではなく、体を温めるためにまずできたと考えられているそうだ。
その後、滑空なり飛翔なりの用途に転用されたらしい。

この転用というのは「前適応」というらしい。

ある種が持っている能力を進化上で得る際に、もともと別目的ですでに持っていたものを転用することだそうだ。
鳥類が酸素が薄い上空でも生きていられるためには気嚢という高性能な呼吸システムがないと無理だけれども、それは酸素が薄くなった時代に恐竜が気嚢を会得したことでそれも転用したそうだが、これも前適応だろう。

前適応という言葉を聞いた時に
これは学問や文化の進化にも通ずるものがあるなと思った。

例えば、地球の大きさとか地球が丸いかどうかなんてのは古代ギリシア時代にすでに解っていたことなのだけれども
これは当時は特に知らなくてもいいことであったはずである。
ヨーロッパ人は精々がインドまでしか行かず、更にその先に支那があるということは伝聞では知っていただろうが、そこまでである。
地球を回って交易をすることもないし、地球の周りに人工衛星を周回させるなんてことも出来なかった。

だが、今は地球が丸いというのは太陽が東から昇るのと同じように常識であるし、それが知られていなければほとんどのテクノロジーが成り立たないだろう。

コロンブスなどの冒険者たちが地球の周りを回るためにも、このように古代より知られていた地球が丸いという事を知らなければより困難な事業であっただろう。(もっとも中世化された社会によって古代の知識やテクノロジーは失われそれを復古することも困難なことであったが)

何回か言っている素数と公開鍵の関係や、量子力学と携帯電話の関係もそうだ。

純粋な知的好奇心のみで探求された出来事が数百年後に応用される場合がある。

もし、恐竜が体温調節の羽毛を手に入れなければ飛翔能力は得られなかったか、今よりもっと時間がかかっていたかもしれない。
何かしらの環境の変化で飛翔の必要が出たのだろうが、羽毛がなければその環境変化に負けて絶滅していたかもしれない。

これは個人的なことにも言える。
雑学なり趣味なり直接飯を得ることには関係ないことでも、それを転用することができるかもしれない。
生き方の選択肢が増えるかもしれない。
仮に生きていくための最低限のことしか知らなかったら、何か環境の変化が発生した時にただ流されるまま食に困ることになってしまうかもしれない。

知識でも人生でも生物の進化でも、多様性は絶対に必要だ。
何かの役に立つかという目先のことばかり考えていたとしても、神様じゃないんだから結局何が必要かなんかわかりっこない。
それよりも、必要ではないかもしれないが好奇心や享楽でも動機は何でもいいので、多くのことをやって見聞を増やすという事が必要だろう。

 

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