名作不条理ギャグ漫画『伝染るんです』のネタの一つとして、かわうそが働くフリをするというものがある。
『働くふりをすれども、働くふりをすれども猶我が暮らし楽にならざり、じっと手を見る』
何やら棒のようなものを持って、土を耕しているようなフリをしたり
紙の束を右から左へと積み替えるようなフリをしたりしていた。
漫画上ではかっぱ君やかえる君がそこで突っ込んだり呆れたりするわけだけれども
かわうそだけでなくかっぱ君やかえる君までも巻き込んで会社状態になって働くフリをしたらどうだろうか?
いやもっと巨大な組織になって、営業フリ部・製造フリ部・総務フリ部となって更にその中でも分業が進めば、フリなのか仕事なのかわからなくなってくるだろう。
かわうそ一人のフリの場合、もちろん金は稼げなくミルミルと痩せていったが、
フリ会社が賃金を与えていたら、フリが仕事にかわる。
「生産性の概念の欠如」がたぶんもっとも深刻 – Chikirinの日記
なぜこんなことを思ったのかというと、上の2つのブログを読んだから。
商売ってのは何かを売って金と交換をするってのが本質だけれども、高度に分業化されて組織化されて官僚化されると
その金の部分が見えづらくなる。
もちろん全員が全員働くふりをしているわけには行かないが、仕事の大部分をフリになって稼いでいる部分はその何割かだということになっている。
効率を考えずにとりあえず頑張って努力をすること、直接生産に関わるわけではなく、原価の大部分を無駄に浪費するというのは
かわうそ君の棒をただ振っていることに似ている。
もちろんバッファも必要だし遊び無くカツカツに行うことが是ではないが、
仕事のフリに似たただ頑張っている状態だけで体力や気持ちを消耗するのはそれは余裕有る仕事ではない。
でも、フリをうまくすることによって賃金が増えるならばみんな喜んでフリをするだろう。
金が一応回っていればフリでもなんとか持つのだろうね。
でも、社員がそのフリに気づけないで居ると、より安く高品質な別の会社に移っていくだろう。(けれどもクライアントからして発注するフリをしていたりして、現状維持でずっと進むだろうけれど。)
コスト意識を持って仕事をしろというが、その結果がフィードバックされないとモチベーションは増えない。
コンビニバイトの意識は客を呼び込むことよりも、ただスムーズに仕事をすることに重点がおかれ、客の存在は邪魔と思っている。
ノルマを設けてもノルマを達成する事が目的となって、自爆買いとか押し売りとか詐欺まがいとか本来の商売にはマイナスになることを行うこともしばしばある。
ある証券会社の証券マンの成績は客がどれくらい手数料を払ったかということで判断されるということで、必要のない投資や売りをさせて手数料を稼ぐという。それは証券会社の本質ではない。
なんだかんだ言ってもそのような方針を続けていても会社は存続していくけれども、消費者といい関係は気付けないし
品質も値段も向上しない。
ただ、末端の人間に何が経営に必要かなんかは見えづらい部分はあるので
人事制度からして変えていく必要があるのだと思う。