ハードウェアとかソフトウェアなど、我々の世代にはお馴染みの言葉だけれども、
僕らの父母世代になるとどうもピンとこないらしい。
ハードとかソフトとか、そもそも何か硬くて何が柔らかいのか
そういう印象が先に来てしまうようだ。
僕らはソフトキャンディーのソフトと、ソフトウェアのソフトは同音異義語のようにおもっているので、
そういう違和感はないのだが…
ハードウェアが先にあった言葉
Hardwareを辞書で引いてみると、金物という言葉で使われているそうだ。
金属で作られている道具、鍵とかフォークやスプーンなど
コンピュータが作られた当初はこういう金属類に例えてハードウェアと呼ぶうようになったそうだ。
ハードウェアに対する概念として、それを単に反対の意味にすることでソフトウェアという言葉を作った。
ハードやソフトという言葉自体には意味はなく、単にもともとあったハードの逆という意味で作られたにすぎないわけだね。
当時の機械はかなり大きいものだったので、技術者の間で『タンス』とかいうなまえがついていたら
ソフトウェアに対する概念に『引出し』とかいう名前がついていたかも知れない。
ハードディスクってのはどういうハードなのだ。
ぼくの母親に、「パソコンなどの機械類はハードウェア、または略してハードっていうんだよ」という事を教えて、
また、「メールとか画像とか、データはすべてこの中にあるハードディスクというところに収まるんだ」ということも教えた。
両方とも『ハード』がつくおかげで、パソコン(というかタワー型の筐体)とはハードディスクそのものだというふうに覚えてしまった。
で、このハードディスクの語源というのは
フロッピーディスクが現れたことによるものだ。
フロッピーというのは柔らかいという意味で、当時はディスク状(円盤状)のメディアといえばハードディスクだった。
そしてハードディスクは当時はハードディスクとは呼ばれず、ディスク装置と呼ばれていたそうだ。
ディスクといえばディスク装置。
だが、IBMが革新的なフロッピーディスクというものを発明した。
フロッピーディスクははじめはディスケットとよんでいた。
今でもディスケットとよんでいる人も会社にいるくらいだ。
このディスケットという名称はIBMの登録商標なので、柔らかいディスクという名称の『フロッピーディスク』という名称が定着し、
今までのディスク装置はフロッピーとは逆の意味として『ハードディスク』と呼ばれるようになった。
こういう新しい概念が誕生した時に、新しいものと区別をするために古い概念の名前を変える現象をレトロニムというそうだね。
携帯電話に対する固定電話みたいな
機動戦士ガンダムがファーストガンダムと呼ばれるみたいな話だ。
ちなみにフロッピーディスクは日本ではドクター中松が発明したという話が信じられているが、
フロッピーディスクを発明したのはIBMだ。
どうやらIBMはディスクを包むジャケットの部分に対して日本でフロッピーを販売するにあたり抵触する前に契約をしたらしい。
またまた、ちなみに
ディスクというのは円盤で(フリスビーはフライングディスクっていうでしょう)
デスクは机だ。
ハードデスクっていうのは、固い机になるし
ディスクトップじゃ円盤の上みたいな意味になるのではないか?
パソコンの画面は作業スペースに見立てて、『デスクトップ(机の上)』と表現しているのであって、
ハードディスクやフロッピーディスクのディスクではない。