偉人の隠された偉業 イミテーションゲームを見た

このテクノロジーの時代では先人たちが発明した製品にあふれている。

電球はエジソン
電話はグラハム・ベル
飛行機はライト兄弟

ではコンピュータは?
恐らくあまり知られていないとおもう。

もっともコンピュータは多くの発明品と違い巨大なプロジェクトとして長い時間をかけて形作られたものではあるから、
誰それが中心的な人物とは言えない。

だが、アラン・チューリングはコンピュータの基礎を築いた父親の一人であることは間違いはない。

その偉人チューリングの数奇な人生を描いたのが今公開中のイミテーションゲームだ。

チューリングとはどういう人物か

チューリングという名前は今では幾つかの言葉として残っている。

チューリングテストは相手が人工知能か人間かを判別するテストで、
ウェブサイトでログインするときにグニャグニャした文字を入力されるアレに応用されている。

また、チューリングはチューリングマシンという仮想的な機械を考えた。
これは
無限に長いテープ
そのテープを読み込みヘッド
内部状態を保存するメモリ
の3つで構成されている機械で

テープの内容を読み込み、それによって機械の内部状態が変わり、
それによってヘッドがテープの右か左に移動をするという動きをする。

そして内部が停止状態になるまで動作を続ける。

これはコンピュータの動作の原理を表しているし、
数学の形式はこのマシンの動作に還元できるそうだ。

数学の問題をこのマシンの手続きで解くことができ、これがつまりプログラミング言語のアルゴリズムに当たるわけだ。

そして、チューリングマシンで表現できるアルゴリズムを表現できるプログラミング言語のことを
チューリング完全であると言う。

このようにチューリングが研究した分野は今日の計算機科学(コンピュータの学問の名前)において
根源的な部分で功績を残している。

チューリング賞という賞があるが、これは計算機科学におけるノーベル賞といわれるほど権威がある。

チューリングは正に偉人。

アインシュタインなど一般に知られている学者はいるが、
功績でいったらチューリングも広く知られていてもおかしくはない。

暗号解読の人

彼の人生には、コンピュータの基礎だけではない。

第二次大戦時、通信をする時はモールス信号を使っていた。
今のようにインターネットでSSLで秘匿なんていう気の利いたものはなかった。
無線通信は四方八方に電波を飛ばして、一般人でも周波数さえ合わせればどこでも聞くことができる。
便利だけでも扱いがまだまだむずかしい時代だった。

当時はその通信を暗号化させていた。
ある文字を暗号文に変換させる手順のデータ(数字であったり文字であったり)を鍵という。
この鍵を用いて暗号し、同じ鍵を使って復号(暗号を戻すこと)をさせる。
これは今日では共通鍵方式という。

ドイツではエニグマという暗号化する機械を使っていた。
このエニグマは第二次大戦を舞台とした映画ではおなじみだ。

そしてチューリングは戦争中、イギリス軍でこのエニグマの鍵を探る仕事をしていた。
エニグマの鍵はずっと同じものではなく、毎日変わる。
暗号文を解読しようとしても毎日違う鍵になるので、その強度は上がるが、
根本的に鍵を解読する仕事をしてた。

ただしこれは長らくイギリスの国家機密に指定されていて、彼の業績は世に出ることは無かった。

映画ではこの時をストーリーの中心に持ってきて、
幼少期と戦後を同時進行で描写することで彼の人生を映画いていた。

余談だが、当時の暗号と暗号解読は各国でかなり力を入れて研究され、
今日の安全なインターネットの通信を下支えしている。

偏見の被害者

チューリングは偉人であり、イギリスにとっては祖国の英雄でもあったはずだ
だが功績は隠され、まだ計算機科学の功績はまだ広く知られてはいなかった。

しかし、戦後彼が広くイギリス国民に知られることになるのは
不本意な偏見によるものだった。

彼は同性愛者なのだ。
そして、当時はひどいことに同性愛は違法だった。

彼は逮捕され、そして薬物による去勢を裁判所に命じられるという今では信じられない処遇を受けることになる。

この映画は同性愛者の権利についてもテーマにしている。

多くの作品に置いて同性愛者を特徴としたキャラクターは同性愛者であることを中心的な特徴として表現しがち
(これも一つの偏見なのかも知れないが)
同性愛者の職業は同性愛者向け酒場とかしか浮かばない一般の人のように、同性愛者は同性愛者という特徴を背負い他の人と違うように描かれがちだ。

この映画ではそれほど記号的な同性愛的な特徴を全面に押し出してはいない。
劇中、強くその性的傾向を押し出すことはしない。
逆に偉人伝などでは同性愛者であることを隠してしまうケースもあるが、この映画はそういうことから逃げてはいない。

この映画は英雄と天才の偉業と同性愛をテーマの中心に持ってきて、
時代性を上手く描けていると思う。

ちなみに、変わり者のように描写されているが、彼はアスペルガー症候群的な特徴があったと言われている。

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