IRCはご存知だろうか?
インターネット リレー チャットの略だそうだ。
だからIRCチャットというと、インターネット リレー チャット チャットになってしまって正しくない。
普通はIRCというのだろうけれども、IRCという語自体はプロトコル名であるから、IRCプロトコルを使ったチャットとかいうことでIRCチャットと呼んでも良いのかなとは思う。
ただ世間ではどう読んでいるかは僕はしらない。きっと単にIRCとよんでいるだけかもしれない。
IRCは単純なチャットだ。
サーバーに接続して開設された部屋に入室してチャットをする。
部屋は自由に作れるし、参加している人がいなくなれば部屋は消える。
いまIRCを使っているのはオープンソースのコミュニティくらいか、
IRCを使って遠隔操作をするマルウェアくらいしかない。
今はTwitterにLINEにブログに…など人をつなげるサービスは数多くあるが
1999年頃のインターネットにはそういったものは無かったのだ。
ブログという存在もなかった。
人はジオシティーズか何かでサーバーを無料で借りて、自分で拙いHTMLを書いてホームページを作る。
無料の掲示板を借りて訪問者とコミュニケーションを取る。
もしくはICQを使ってメッセージをやり取りする。
いまと比べると格段にコミュニケーション手段が少ない当時、リアルタイムで人と話をしてそこで他の人と知り合うという場はIRCだった。
世間一般的にどうだったかは実はわからないがIRCはかなり受け入れられていたとおもう。
なにせセガのゲーム機であるドリームキャストに標準でIRCクライアントの機能が付いていたのだ。
ドリームキャストは時代を先取りしてネットワークでゲーム対戦やチャットができるマシンだった。
まだ常時接続など一般的ではない時代、家庭用ゲーム機でネット対戦なんてかなり先取りしすぎていたような気がする。
通信費がかさんで親にぶん殴られ、向こう三年間バイトタダ働き高校生とかみたものだった。
その家庭用ゲーム機でもコミュニケーションの手段としてIRCを押していた。
IRCはアドレスとポートを指定してアクセスする。
IRCのプロトコル自体では文字コードの指定は考慮されておらず、利用者がどのようなモノを送っているかは利用者同士での了解できまる。
だから文字コードの指定もする。
ドメインを作る必要はないが、パソコン初心者や家庭用ゲーム機を使っている人にしてみれば
ポートや文字コードなど結構ハードルが高いというか、よくわからないものだったではないだろうか。
それでも利用者は多かった。
僕はIRCに出会ったのは友人がチャットをやっているからというもので
どのソフトウェアを使いどのように設定をするかなどの手順がメールで送られてきた。
その手順通りに行い接続した先にあったものは、今までホームページで得られていたコミュニケーションとは全く別の新しい体験であった。
自分は埼玉だが、福岡や札幌の同じ世代の人とリアルタイムに話すことができる。
ホームページは人となりが自己紹介に書かれていてそれを見て掲示板に書き込むかどうかと考えて、書いては推敲してドキドキして投稿をする。
そして返信はまだかと何回も尋ねる。
それはそれで一つの趣があったのは確かだが、相手とを隔たる壁はインターネットで物理的な距離を縮めることはできてもまだまだ厚かった。
だがIRCはリアルタイムに自己紹介をしていかなければならない、つまりほとんど会話だ。
それに関してはLINEなどで親しんでいる今の人々からすれば当然わかるものだろうけれども、当時のぼくには正に革命的な技術だった。
IT革命だった。
ちなみにIT革命で有名な森内閣は2000年からなのでまだこの頃はITという語も一般的でなかった気がする。
当時は23時からテレホタイムで、その時間になればまずIRCにつなげる。
するとしばらくして友人たちが入ってきて、マンガや小説、ゲームの話に興じて一時くらいになれば寝ていく。
今はTwitterのようにどことなく呟いてどこからとも無くレスポンスを貰うか、
LINEのように四六時中メッセージが来るかも知れないという感じになっているが、
その時間に集まるという感じは今は薄い。
今の時代の標準である常時であることとモバイル性があることと、ユーザー数がやたら多いということは良いことなのだが
また何処かで3000人位のユーザー上限があるような場所でIRCをやってみたいと思う時がある。
放課後の友人同士の会話みたいな他愛もない話をまたIRCでやりたい。
ちなみに、IRCチャットからヤフーチャットに移行して
そのままブログやmixiを経てTwitterに落ち着いてる。
当時知り合った人は未だにTwitterでつながったりしている。
IRCをやっていたころからもう16年。
まだまだ新しい技術とは言われているが、青春を謳歌した人が当時を懐かしみ燻ぶるくらいには時間はたってしまったのだな。