金曜日の夕方に歯医者に行ってはいけない

だいぶ前に親知らずを抜いた。

今や全部残っていない。
残っていれば移植や支柱として使うことができるので、なるべく残そうかと思ったが
すべてが致命的な虫歯になってしまい抜くことになった。

そのうちの一つを抜いた時の話。

金曜日の一番遅い時間に予約

まだ大学生の時だった。
完全に穴があいたような状態になったので親知らずを抜くことにした。
バイトや大学の予定が無く、最速の時間ということで直近の金曜日のその歯医者の一番遅い時間で18:00で予約を取った。

そこまでは良かった。
でもちゃんとその後のことを考えておくべきだったのだ。

まず、穴があいた歯だったことということで、途中で折れたため
抜歯にまあまあ時間が掛かってしまい、終わったのが19時だった。

今までに二回の抜歯を経験しているが、これは一番長くそして血も結構出ていた。
相当厄介な歯だだったんだ。

一番遅い時間にやってきて、相当長く治療していたため歯医者を出る最後の患者は僕だった。
抜歯を行ったので当然、痛み止めと抗生剤が処方された。

そこまではよかった。

薬局へ

歯医者に最も近い、併設されているような薬局へいくと…

すでに閉まっていた…
18:30に閉まっていた…

おいおい、協業しているようなもんなんだから
患者が来るかどうか確かめてから閉めてくれよ…
だが、一応は商店街だ。
処方してくれる薬局はいくつか知っている。

というわけで、ドラッグストアに来た。
最近はドラッグストアでも処方箋受付をしてくれるところがある。

だが、ここも18時でしまっていた。

「もうやっていないんですか?」と聞けば
「薬剤師もういないんですよー」とのこと
白衣のお前は薬剤師じゃないのかよ。

店員さんは神様主義の気の弱い僕は押すことも出来ず、次の薬局を探して商店街を駅の方に歩いて行く。

それがどれもこれもやっていない。

大きめの総合病院があるところまできたのだが、19:30ともなれば
外来もしまっているし近くの薬局も当然しまっていた。

スマホもグーグルマップも無い頃だ。
最も近い今もやっている処方受付する薬局を探そうにも手段がない。

その頃、段々と麻酔が切れてきた。
相当めんどくさかった抜歯で、出血も結構ある。
今までの抜歯とは違いかなり痛い。
その痛みを伴いどこにあるともわからない薬局を求め彷徨うのはもう辛い。

痛み止め貰いたいけど、もらえないなら家に帰って寝るしかない。
抗生剤は、一晩くらい大丈夫だろう。

結局

本当に痛かった。
血はドバドバでて、どんどん血が固まって、
定期的にガムを吐き出すように血の塊を排出していた。

唾液もいつもより多いのかわからないけど、気がつけば口から血が垂れることもしばしば。
血を吐く人ごっことか出来るのに、その晩はそんなことも出来ずに寝るしか出来なかった。

でも、痛くて何度も目が覚める。
赤いヨダレで枕がスプラッターになっている。
本当に散々な日だった。

だがそれも次の日の朝に薬がもらえるまでだ。
次の日もまだまだ抜歯部分が痛いので、痛み止めの需要は充分あった。

だが、次の日は土曜日だった…
また近所の薬局は全滅…
今回は自転車の力に頼って商店街をローラー作戦で攻めていったのだが、ことごとくダメだった。
最近は土曜診療やっている医者は多いが、当時住んでいた地域ではそんなのはなかった。
カレンダー通りに休み、日が沈んだら寝て、日が昇ったら起きる。
古き良き習慣が残っているそんな商店街だったんだ。

そこで閃いた!
ふた駅向こう側に大学病院がある。
そしてその大学病院は幼き頃かかったことがあり、学校がない日つまり土曜日にも診察を受けられていた。

舵を大学病院に一直線、
大学病院周辺はちょっとした坂になっており、軽く運動することになってしまいそのお陰で痛みがズキンンズキン。
それでも一刻も早く薬がほしいので頑張って坂を登る。
そしてそのまま大学病院周辺の一番近い薬局に飛び込む。
全国どこの処方箋でも受け付けますとか書かれているが、結構遠くの小さな歯医者の処方箋を持ってくる人間も僕ぐらいなものだろう。

抗生剤と痛み止め、さっそく手に入れたそこの薬局のウォーターサーバーで飲む。
帰り道、下り坂、清々しい気分でもう痛みはどこかに行ったかのようだった。
プラシーボ効果かもしれないが、すぐ効いたようだ。

でも、血はそうそう止まらなかった。
次の日の日曜日はバイトでは、前日ほどではないが接客に支障がでるほど血が口からでている。
口紅疑惑もでるほどだった。

口のなかを見せて、顛末を説明したら
「休めばいいのに―」と言われた。
そっか、これって休めるレベルなんだ…

歯医者は痛みが続いたり、血が止まらなかったまた来てくださいね―とか言っていたが
土日やってないんだ。
誰も助けてくれない。

結局、日曜日の昼過ぎには唾液も赤くならなくなったから
月曜日に歯医者に行くことはなかった。

というわけで、薬もらえなかったり
土日に困ったことがあった時になにもできなくなるので
金曜日の最後に抜歯をしちゃいけないよ。

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