オデッセイを見てきた。
面白かったからすぐに原作買って読んだから、映画ではあまり語られなかったところなど映画見て疑問に思った人も多いだろうことを書く。
小説は、ワトニーがログにのこしているていで書かれているのが半分くらい。
あとは火星のシーンではたまに第三者視点
地球のシーンは第三者視点といった構成になっている。
小説は詳しい説明が入ってくれるが、映画だと映像で説明できない部分は飛ばしがち、セリフでそれを補うと不自然になってしまうからね。
オデッセイはプロモーションからして普段科学に明るくない人も見させるような感じに仕立てているし、実際にランキング上位に入っているところから見てもそうなのだろう。
火星がどんな星か、どんな探査が今行われているのかなど普段知らなかったら意外と分からないシーンがあったという人もいるんじゃないだろうか?
というわけで以下ネタバレあり
1.衛星写真でワトニーの生存がわかったらしいけど、衛星写真でわかるの?
もしかして、地球のまわりを回っている衛星だとおもっていないだろうか?(僕の妻はそう思っていた)
火星軌道の人工衛星だ。
結構古くから火星軌道を回るようにした探査機はあって、2001マーズオデッセイ、マーズエクスプレス、マーズリコネッサンズオービターなど現在も運用中
舞台の近未来ではもっと多くの人工衛星が回っている。
2.ASCIIってなに?
カメラの回転だけで、地球からのメッセージをどう受け取るかをワトニーは考えた。
YES NOだけでは十分なコミュニケーションはとれない。
そこで、ASCIIコードを使うことにしたと。
コンピュータでは内部では0と1の組み合わせであるということは多くの人が知っていると思うが、文字も0と1の組み合わせで表現されている。
0と1の二進数だと非常に解りづらいので、通常16進数に置き換えて表現してる。
16進数とは0からFまでの数字。
0,1,2,3,4,5,6,7,8,9,A,B,C,D,E,F という順番に数字が増えていく。
例えばAだったら、41、Zだったら5Aと表現する。というように決められている。
(※正しく表現するときには16進数だと分かるようにするために0xをアタマにつけて0x41とか表現する)
これを利用して、円を16分割してカメラをその方向に動かすようにして、解読していく方法を取ったわけだ。
3.パスファインダーってなに?
覚えていないだろうか?鳴り物入りで火星の探査に行った無人機を…
実際にいま火星で放置されている。
もう運用は終了しているが、ワトニーはもしかしたら繋がるかもしれないと思ってパスファインダーを取りに行ってきた。
小説では、地球に向けて何かしら発信が開始されればSETI(宇宙からの電波で知的生命体を探るプロジェクト)とかが気づいてくれるかもしれないという思いが書かれていた。
実際は人工衛星で追っていたNASAが向かった先からワトニーが何をしようとしているかを気付いた。
4.パスファインダーで都合よくチャットできるの??
小説では、パスファインダーには遠隔でOSをアップデートする口があると説明されていた。
現実でもキュリオシティという火星で運用中のローバーは、記録装置の容量が少ないため着陸後は地球からのソフトウェアアップロードにより
不要な物は消して観測用のソフトに更新をするという運用をしている。
そういう機能がパスファインダーにもあり(現実にあるのかはわからないけど)それを利用してチャットの中継機能を追加した。
でも、打ち込む端末が無いのでローバーのOSを書き換えてパスファインダー経由にする方法がとられた。
小説ではそこは詳しく書かれており、ローバーはハブなどから送られた信号をバイトにパースして識別している。
バイトにパースしているということは識別前の信号のデータがローバーのメモリ上に残っているわけで、その識別の前にファイルに書き込むように処理を書き換えるようにした。
ほんの少し処理を書き換えるだけでローバーがチャット端末にできたという。
小説ではどこを書き換えるかもちゃんと出ていた
/usr/lib/habcomm.so だ。
一部の人にはだいぶ盛り上がるシーンだ
5.中国マーケットに媚び売ってない?
中国がかなり重要なポジションで協力を申し出てくる。
媚び過ぎではないか?という疑問はネットのあっちの方から聞こえてくる。
でもこれ原作でも中国はちゃんとでてくる。映画の戦略ではない。
なぜ中国なのかといっても、現在宇宙開発でアメリカ、ロシアに続いて中国が来ているくらい進んでいる。
有人宇宙飛行をできたのもその三カ国だけだし。
ロシアが出てきても良かったかもしれないけれど、そこはどっちでもいいんじゃないかね。
日本が出るよりかは自然だよ。
で、あの中国がなぜ機密にされていたブースターをかしたのかというと
太陽神は特に機密でもなかったけれど機密扱いだった。(中国は何でもかんでも機密扱いにしておく)
そして、アメリカに協力をして次回の火星探査で中国人飛行士枠を確保したいとの思惑があった。
ラストシーンに中国人が乗っているらしい。
ただ、それでも現場はやるせない思いだったそうだ。
太陽神は太陽系探査で相当力を入れていたプロジェクトで歴史を変える自身があったそうだ。
アメリカのブースターで打ち上げてやってほしい
6.ヘルメスに物資を送る太陽神が失敗したらどうするの?
ヘルメスのクルーは死ぬしかない。
小説ではそこにはエピソードがある。
7.ワトニー植物学者なのに機械に詳しすぎない?あとなんで植物学者が宇宙飛行士なの?
まず、植物学者は宇宙で動植物が育つかの実験のためにいる。
イネなどをもって火星で実験する予定だったらしい。
その土が糞尿とともにジャガイモの育成に役に立った。
で、ワトニーは植物学者兼エンジニアである。
よくもまあ、そんな万能な設定を‥・と思われるかもしれないが、
宇宙飛行士は万能でなければならない。
複数の専門を持っている。
船長は軍人で宇宙飛行士で地質学者
フォーゲルは天文物理学と化学
ベックは生物学と医者 船外活動のスペシャリスト
ヨハンセンはシスオペ(ハッカー)と原子炉技術者
世界でも指折り優れた人が選抜されるのだから万能なのだ。
8.地球と火星って離れているんでしょ?チャットできるの?
だいたい光の速さで12分
だから、通信は12分遅れでくることになる。
チャットも書いてから返事が来るまで30分位かかるわけだ。
映画はテンポよく書いているけれども、実際には長い時間かかっている。
だから最後のシーンで地球の皆が固唾を呑んで火星のミッションを見守っていたけれど
すべて12分前に終わっている事なんだ。
地球はただ見守ることしかできない。
9.小説との違いはなに?
ラストが違う。
映画では後半、ヘルメスが戻ってくるところからすっ飛ばしているけれど
小説ではその間にもいくつも悶着があった。