ラテン語で天地創造を読む その3 少しペースを上げるぞ

前回の続き

In principio creavit Deus caelum et terram.

聖書の出だし一行のうち、最初のIn principioだけ読んだ。

訳は「最初に」

では、最後まで読んでいこう。

一行目後半

動詞

まず動詞の説明をする。

ラテン語の動詞は、人称と時制と単数複数によって動詞の語尾が変わる。

英語では、現在形三人称単数系だとsがつく。
例えば She loves you. というようにloveがlovesに変わっている。

ラテン語はその種類が無茶苦茶多いだけだ。

例えばloveに対応する〜愛するというamoという動詞がある。

単数 複数
一人称 amo amamus
三人称 amas amatis
三人称 amat amant

主語が、自分なのか貴方なのか、それ以外なのかによって動詞の形が変わる。

なので、主語が省略出来る

しかも時制によってもさらに変わる。

完了形の場合はこうなる

単数 複数
一人称 amavi amavimus
三人称 amavisti amavistis
三人称 amavit amaverunt

完了形とは、英語の現在完了と過去形の間の子みたいな時制で、
散文だと当然主語は三人称だし、過去にあった出来事を描いているので
よくでてくる時制だ。

creavit

creavitが最初に来る。
これは動詞だとピンとくる。

それはavitという語尾だ。
先程のamoの活用から考えるに完了だろうと推測できる。

羅和辞書で、動詞の見出し語は
直説法現在一人称になっている。

だからavitをoに置き換えた「creo」を辞書で引けば意味がわかりそうだ。

creoを辞書で引く

見出しは「creo , are , avi , atum 」と書かれている。
意味は「創造する」

見出し語のcreoは先程も書いたが、直説法現在形一人称の活用が載っている。

are,avi,atumはそれぞれ活用語尾で、単語全部書くとcreare,creavi,creatumとなる。

それぞれが活用の一つの形で、
creareが不定法現在
creaviが完了形一人称単数
creatumが目的分詞
となっている。

それぞれの文法の意味についてはいつか出会うことになると思う。

これらの活用語尾別の活用表が辞書の後ろの方に書かれているので、
最適なものを探す。

creoはamoと同じく第一種活用だった。

活用表をみると、creavitはやはり三人称単数完了形であった。

主語と目的語

さて主語と目的語を探そう。

もう探すまでもないかもしれない。
横にでかでかとDeusと書かれている。

デウス つまり神だ。

これが主語だろう。

では、caelum et terram が目的語だろう。

etはandと同じものなので、この2つともが目的語になっている。
目的語ということはこの2つとも対格なはずだ。

検証をしてみる

caelum と terram

caelumをとりあえず辞書でしらべてみると、
caelumで辞書で引けた。
意味は「天、空」

名詞には主格が見出し語で、属格語尾も載っている
caelumが主格で caeliが属格であることがわかった。
辞書の活用表を見てみる。

このパターンだと、主格も対格もcaelumであることがわかった。

ちなみにファイナルファンタジー15の主人公
ノクティス=ルシス=チェラムのチェラムはcaelumというスペルだ。
あのゲームはところどころラテン語から名前をつけているのだ。
『夜の光の空』という意味だが、そのcaelumと同じだ。

次にterramだ。
これはテラって言葉を知っている人は多いだろう。
地球という意味だ。

『テラへ』『テラフォーマーズ』などなどテラは地球や大地という意味がある。

というわけでterraが主格だろう。

romaやrosaなど主格がaで終わるのは、頻度が多いので覚えてきたが、属格がaeで終わる女性名詞だ。
第一種転尾と言われるグループなのだが、第一種って言われるくらいだから1番多いのかもしれない。

対格は-amが語尾だから、terramは対格であると結論付けられる。

よって、
creavit Deus caelum et terram.
これの日本語訳は
「神は天空と大地を作った。」だ。

次回予告

次のセンテンスを解読する。

次はついにsum動詞が出てくる。

そして英語で言うところの第二文型SVCが登場する。

そしてまた、ファイナルファンタジー15にゆかりのある単語もでてくる。

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