高度にシステム化された社会がゆえのスピード感の欠乏

コンピュータが企業活動に綿密に入り込むようになり、人の生活にも直結し、それがなければなにもできないようになった。

業務の効率化や生産性の向上のためというのが主な理由で導入されていき、これにより人手も少なく、多くの人が必要だった業務も一人でできるようになった。

個人生活でも遠くに出かけなくても手元のスマホで何でも済むようになり、非常に効率化が進んだと言える。

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効率化の果て

この効率化のために昔よりも困難になったことがある。

その例が最近話題のサマータイムだ。

機械音痴の人にはあまりピンとこないかもしれない。
高度なコンピュータシステムならば人間にはできない効率でまたたく間に設定できると思いこんでいるかもしれない。
ところがこれは逆でサマータイムなどは今のほうが逆に難しい。

昔はサマータイムを導入するとなれば、法律を作り、制度を決めて、後は人がそれに従うだけで済んだ。

今は企業間で通信をしてデータのやり取りをして、その規模は世界中に及んでいる。
コンピュータで行われる処理は、複数の前処理と後処理が複雑に影響しあっていて、海外とも繋がっているので相手側の営業時間とこっちの営業時間の差などを考慮してその業務をデザインしている。
それぞれの会社は効率と生産性を考えて綿密に計画して決めている。

条件が変わることがあればその影響は次から次へとでてきてしまう。

昔はそういうことはなかった。
人間がやっているので融通が効いたし、それほど業務にスピードを求められていなかった。
昔は、サマータイム切替日だから23時間しかないからといって、なにか業務に影響は出るというわけではなかった。
業務時間外は業務は止まっているし、無人で働いている奴は居なかった。

いまは人間の代わりにシステムが24時間働いている。
1分1秒がかっちり決まっていると言っても過言ではない。

昔は業務はゆっくりだったが、その遊びの部分が柔軟性があったわけだ。

皮肉にも効率化を求めた故に、想定外のことには対応しきれないくらい複雑になってしまった。

何かを得て何かを失ってプラマイゼロ

コンピュータは魔法の箱ではない。
お金もかかるし、面倒を見なければならない。

昔は一つの仕事に沢山の人が関わっていたが、今はその仕事を一人でできるようにあった。
システムが自動的にやってくれることが増えたからだが、今度は人件費の代わりにシステムの管理費とシステムを作る人や面倒を見る人が増えた。
そして、全世界的に影響がでる脆弱性やマルウェアなどの脅威など新たに対応しなければならないことができた。

業務のスピードが上がり、24時間の業務も可能になり、一人の人がやる業務の求められる量が増えていった。
効率化を求めるあまりに余白を減らし空いているところに仕事をギュウギュウにつめていき、システムも複雑に組み立てていった。

コンピュータの進歩が必ずしも社会や市民を幸せにしているとは限らない。

求める未来

この行動に情報化された社会を否定しているわけではない。
コンピュータやネットによって完全に良くなった、もしくは良くなるという楽観は出来ない。

社会構造が変わったのだから出来ること出来ないことが変わったということを知ってもらいたい。

効率化の果てにあるのは、余裕のなさと、最終的にはその余裕のなさは人間にも及んでくる。
効率化のために人間が24時間働くような時代だ。
もうすでに90年代初期からその時代は始まったが、バブル崩壊と氷河期を挟んで人間は交換可能な労働単位となり、派遣業の緩和によりより単位あたり幾らという道具として扱われるようになった。
効率化を求め過ぎているがゆえだ。

この効率化は局所的に効率的だが、サマータイムなどの変化には動きは遅くなったし、また所謂負の外部性というのもあると思う。
効率的なシステムを組むために人間が無理をする労働が黙認され、それが労働市場のデフレをよんでいる。

労働問題はここでは言及しないが、
システムが複雑化している状態もなんか良い解決策がないだろうか。

だが、サマータイムや軽減税率など仕様を決めたころには思いもしなかった変更というのもでてくるわけで、それはやはり昔みたいにすぐには対応できない。
それは仕方ない。

サマータイムは国際化プログラミングなどやっていれば対応出来たかもしれないが、軽減税率とかは無理だ。

だが、システムが余裕を持てないのであれば、人間側がその複雑さをイメージできれば、対応にも余裕ができると思う。
システムに対する想像力があれば余裕を持った対策をあらかじめ立てられるようになる。

プログラミング教育はコードの考え方だけでなく、大局的な社会インフラとしてのシステムを思う視点を育てるというのも必要なんだと思った。

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