2018年、12月に岡田准一主演で『来る』というホラー映画が公開される。
それに先駆けて原作を読んだのでそれを紹介しよう。
原題は『ぼぎわんが、来る』
作者は澤村伊智で、これがデビュー作だそうだ。
まずはネタバレ無しで話していこうと思う。
一言でいえば、王道ホラーミステリーという作品。
正体不明の怪異に晒されながらもそれに少しずつ近づいていく。
怖いけど、真相を調べていくというのが好きな人にはとても合う作品だ。
三流怪談だと真相は誰それがここで死んだとかそういう程度の話にしかならないが、評価されているホラー作品だけあってそんな話では終わらない。怖さ抜かしてもその調査部分だけでも成立する面白さ。
怪異にさらされながらも真相を調べていく作品といえば、登場人物の貞子もお化けキャラとして定着してしまった『リング』がある。
当初より『リング』に比較されていたのが本作なのだが、続編の『ずうのめ人形』では作中の流行り映画として『リング』を登場させるなど意識しているようだ。
だが二番煎じではない。『リング』を最初に読んだ改めて怖い思いと似た感情を得られるのが本作。同じ怖さのツボを押すように構成されているが話はまるでオリジナルなんだ。
映画を見る人のためのキャスト情報
ネタバレ無しでキャストの説明
岡田准一は野崎を演じる。
オカルト系の話をかくライターだ。
このシリーズの主役級なので続編も映画化したら続投するかもしれない。
小松菜奈演じるのは、比嘉真琴
霊能力者でこのシリーズの主役級人物。
比嘉真琴の姉、琴子は松たか子が演じる。
琴子もまた主役級で、真琴と同じく霊感があるという役どころだ。
この3人のそれぞれの人間模様も魅力の一つだ。
それは現在3冊出てるシリーズで語られていく。
妻夫木聡演じる田原秀樹は怪異の被害者になるサラリーマン。その妻、香奈は黒木華が演じる。
この二人は脇役ではない。
本作ではむしろ主役である。
一人称小説で、秀樹、香奈、野崎の三人の視点から話が語られる。
ホラーの話だけでなく、同じ事柄でも別の人を通してみたら別のように見えるという、夫婦と部外者の群像劇も楽しめる。
構成がお手本になるほどきれい
小説の人物構成と怖いイベントの出し方などテクニック面も優れていると思う。
幼子を失う怖さ、危機に対する程よいイライラ、些細なことでもちょっと違和感を感じさせる怪異の導入、同じ出来事を繰り返す場面でも新しい発見をさせて次へ次へとページをめくらせるうまい書き方。
こういうふうに書くと良いのかとちょっと真似したくなる。
怖さ以外でも楽しめる本なので映画に行く前にぜひ読んでほしい