ブラック企業への道は善意で舗装されている

Malevich.black-square

その企業がなぜブラック企業になったのかという事を調べると面白そうだな。

渡邉美樹氏の謙虚さが生むブラック性
先日このブログを読んだ。
ほとんどのブラック企業はきっと自覚ないんだろうな。
そしてブラックたらしめている要因はほとんど善意からくるものじゃないのか?
「地獄への道は善意で舗装されている」という諺があるが、そういうタイプのブラックが多いとおもう。
もちろん、最近潰れたソフトウェア業の会社などのように、もしくは某製紙会社のようにトップが私利私欲に走るという事もあるけれど、意外とそういうタイプは少ないのではないか?

パワハラ企業

体罰の問題があるように、体罰や威圧的な態度で強制させるという行為に対して教育的効果を信じている人がいるが、彼らにとってそれは教育という善意である。
同じようにパワハラなどの恫喝を、叱咤激励や愛の鞭として善意でやっている上司や経営者も多いだろう。
社会では厳格な上下関係が必須であり、下のものには厳しく、下のものは耐えなければならないという価値観であれば、圧力を加えるのは社会に適合させるための躾の一種のように思うだろう。
このように相手のためを思ってパワハラをやっている企業というのも多そうだ。

お客様第一主義

顧客を大切にする企業は、顧客のためにという善意があるわけだが、そのために末端社員に負担が来ているという事もあるかもしれない。
低価格で高品質のサービスを提供という事になれば、勉強時間も増えるし給与も上がりづらくなる。低価格故に増員もされず一人の社員の労働時間が増える。
サービスの質と価格は本来トレードオフであるが、両方を立たせるとすれば何処かが我慢しなければならなくなる。
それが末端社員に負担するようになって、長い労働時間と低給与という事になる。
だが、会社としてはお客様のためでもありお客様のためが会社の利益に還元されるという思いがあるんだろう。だが末端には利益は還元されない。
割を食うのは末端社員だけというわけでもない。
下請けイジメも、低価格な商品を提供するために、もしくは顧客の要求を100%答えるために下請け企業に無茶な要求を出すということもあるだろう。
仕事があるだけでもありがたいという価値観が存在するが、その価値観から下請けをさせて上げているという意識を元請けが持ってしまうということもあるかもしれない。
だから、仕事を上げることそのものが善意であり、そして顧客のために要求を飲むことが善意であるという思いがあって下請けイジメなんてものが発生することもあるだろう。

リストラ強要企業

会社にとっては会社の存続は第一であって、社員や顧客のために株主のために会社を潰すわけにはいかない。
そのために余分な負担をリストラクチャリングするのは正義であるという思いもあるだろう。
退職強要部屋などでパワハラをする企業にしてみれば、会社の利益を食いつぶす敵を排除している会社のための善意だという思いなのかもしれない。

愛社精神

日本には滅私奉公みたいな価値観がまだ根強い。
愛社精神なんて言葉も今では若い世代には聞かれないが、ちょっと年代が上になればそういう価値観が根強い。
会社のために我慢をするということは、全体のためにもなるしそれが善であるという価値観なんだろう。
だから、より多く会社に利益を与えるためにはより多く働き、そして残業をすることで給与を多くもらうというのはおこがましいというように考えることもありえる。
会社第一に考えればサービス残業も善意だ。
そういった文化の会社であれば、経営者も会社という集団の一員でたまたまリーダーになっただけであって、先代たちから受け継がれた会社のために経営をするという思いがある。
そして、集団主義的な思考ととても親和性があって、経営者も会社のために頑張るから社員も会社のために欲を捨ててくれという思いをもっている。
だから、進んで損をするという空気が出来上がってくる。
また、こういう会社であれば労組などという対立を生む考えは受け付けられない。
あったとしても御用労組のような物になってしまうだろう。

集団主義企業

前項とかぶるが、集団主義的な考えの企業がある。
個人よりも集団が大切だという考えだ。家族のような会社とか言う場合があるが、家族のように温かく社員と繋がっていくという事を善としている。
だが、それが行き過ぎてプライベートへの干渉や、飲み会への強制参加など皆で何かをやることを強要してくる。
仕事だけでなく人間として深い絆があるんだというのは良いことのように思えるが、副作用でつながせるための強制力とかが発生したり、
異物を排除したりという事にも繋がっていく。

宗教企業

新興宗教と深いつながりがある企業が、社員に信仰を求める場合がある。
布教する側にしてみれば、宇宙の真理や現世や来世での幸せのために正しい信仰を教えようという善意があるんだろう。

善意は怖い

善意というのは怖い。
やっている側には罪の意識なんてこれっぽっちもない。
それに人が考えを改めるという事は難しい。
完全に前の価値観からパラダイムシフトをするためには前の世代の人が死んで世代交代しなければ実現しないとか、何かで読んだことがある。
それほど価値観というのは変えるのは難しい。

特に集団主義とセットで善意にあふれたブラック企業であれば、経営者が変わっても、状況が変わっても構成している社員が変わらなければ変えることができない。
行政罰とか訴訟とか起こされても、その集団にしてみれば外部のよくわかってない奴がなんか言っている程度にしか聞こえていないかもしれない。

会社という狭い世界で、同じような価値観を持つ社員を採用し続ければ新しい風は入ってこないだろう。
だからブラックは醸成されてずっと残ってしまう。
その価値観は今では犯罪ですよという事をもっとアナウンスするべきだし、会社にももっとペナルティを貸して、サビ残やパワハラなどやりたくてもできない状況にしていけば、段々と古い価値観は変わっていくんじゃないかな

 

 

 

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