あなたもうっかり間違っている?よくある誤った論法

「『言われていないので、できません』ってあいつが言ったのよ。だからいいかえしてやったよ。『言われればなんでもできんのか?起業しろっていわれたら起業するのか?』ってね。そしたら何もいえねぇでやんの」

会社の人がこう言っていたので、僕は一応「大変でしたね」と笑いながらいった。
結構この手の反論を言う人が多いとおもう。
だが、これ論理的には破綻しているんだよね。詭弁とか誤謬とか言われる誤った論理だ。

前件否定の虚偽

簡単に記すと「AならばBだ   Aではない。よってBでない。」という論理展開。
嵐はジャニーズだ。長瀬は嵐ではない。よってジャニーズではない。と言っているようなもんだ。

ずいぶん前の話だけれど、産む機械発言問題ってのが数年前にありまして、当時の厚労省が女性を産む機械とかなんとかいって抗議を受けたということなんだけれど、
それの直後の発言で「若者は子どもを二人以上持ちたいという健全な状況にいて~」といったわけだ。そしたら野党から「二人以上持ちたくない夫婦は不健全なのか!」とまた抗議を受けた。
これはつまり前件否定の虚偽だ。
「子ども二人以上持ちたい人は健全である。この人は二人以上持ちたくない。よって健全ではない。」
国民の代表である国会議員がこんな詭弁を弄して、それでいて誰もそこに突っ込まないという状況に当時僕はあきれたものだ。

ちなみにAとBが同じ値ならば、問題はないよ。
「アナキンはダースベイダーだ。ダースベイダーではない。よってアナキンでもない。」というようにね。

後件肯定の虚偽

似たような論理の誤りがあって。
「AならばBだ。 Bだ。よってAである。」という論理展開。
嵐はジャニーズだ。長瀬はジャニーズである。よって嵐のメンバーである。という論理展開ね。
これも同じ値ならば問題はない。
「アナキンはダースベイダーだ。ダースベイダーだ。よってアナキンだ。」

これもよく日常生活で誤る事があるだろうね。
例えば差別とかレッテル貼られるのもこの手の誤謬が元になっているんじゃないか?
「オタクが犯罪を犯した。あの人もオタクだ。犯罪者かもしれない。」というような事を言っている人がいたら、詭弁だと言ってやれ。

対偶

論理的に穴が無い正しい論理は「AならばBだ。 Bでない。よってAではない。」だ。
これを対偶っていって、ド・モルガンの法則っていうらしい。

「嵐はジャニーズである。僕はジャニーズに所属していない。よって嵐のメンバーでもない。」

冒頭の会社の人の話を論理的に正しくすると、「言われていないのでできません。でも、これは出来ます。これは言われた事ですから」となる。
言われなければできない。出来ることの条件は言われた事。でも言われたことの中にも出来ないものはある。ただし出来ることは言われていることが最低条件ってことだ。
うん、そうなんだよ。自明の事なんだよね。何当たり前の事言ってんだってことになる。
AはBであるという少ない事実からは導かれるのも少ない事実だけ。
だから論理的に相手を納得させるには色々な事実を集めて論理を固めていかなければならない。一つの事実だけで論説を維持するのは難しい。

もっとも、論理的に間違っていても冒頭の話は仕事のやり方はまずいよね。
言われなかったから仕事をやらなかった人は確かによくない。
でもそこは論理とは別の話ってことで

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