多くの就活生が就職先にのぞんでいることは安定だとおもう。
公務員バッシングが活発でも公務員になりたい人もおおいし、大企業指向というのも安定を求めてのことだろう。
リストラの風は吹き荒れ、長い不況の回復の兆しは見えないまま20年、消し飛んでしまった中小企業は数しれず、自殺者は何万人もいる。
このような状況では安定している企業に入社したい気持ちになるのは分かる。
そして大きい企業であれば安定していると思うこともわかる。
だけれども、大きいからといって安定しているわけでもないし、こんご10年20年先なんて保証はない。
シャープを見ろ。JALをみろ。大手でも安定しているという事はない。
そもそも、同じ状態でずっといるというのは不自然なのだ。
熱力学ではエントロピーは増大するという。
秩序ある状態はそのうち無秩序になる。そしてその逆はない。
部屋が綺麗に片付いている状態は、いつか散らかった状態になってしまう。(エントロピーが増大する)
それが再び綺麗な状態に勝手に戻るという事もない。何もしなくても埃はたまるし結局散らかってしまう。
だから、自分の手で苦労して部屋を片付けて自然に対抗して行かなければならない。
企業が安定している状態でずっと存在することもない。
コダックのような大企業だってデジタル技術の登場によってフィルム業界が縮小し、消えていった。
富士フィルムは化粧品など新しい分野に進出して、生き残ることができた。
公務員だったとしても、いつか民営化されたりするかもしれない。
大企業だからといっても安定しているわけではない。
中小企業だって大企業だって明日がわからないのは一緒だ。
もちろん大企業の方が体力もあるし、巨大だからちょっとの風では安定状態が崩れるということはないだろう。
だが、いつかはリストラされたり倒産したりするリスクは同じようにある。
ヒットポイントの高さから、一時的でも安定を享受できるという理由で大企業を選んだとしても
その後、外に出る時に問題が出る可能性もある。
大企業が自分を支えるには、企業独自の仕事のための仕事ということが多くなる。
分業化と外注でコアコンピタンスを喪失してしまった企業もあるかもしれない。
そのような極端な空洞化が起こっていなくても、巨大な会社の巨大な仕事ではルーチンワーク化された仕事しか与えられないということもある。
キャリアパスを立てることができなかったり、出来たとしてもその企業内でしか通用しないような事だったりすることもある。
もし、リストラされたあとや企業が暗礁に乗り上げた時自立することができなくなるかもしれない。
大企業がダメで中小企業(またはベンチャー)が良いという単純な話ではない。
どちらにもリスクもあるし利益もある。
だが、単純に安定だけを求めて名が通っている企業を求めるということは自滅の道だ。
企業におんぶにだっこされるのではなく、企業に雇われるけれど気持ちは自立して仕事をし、
いつ外に放り出されても平気なように、勉強をしたり、情報を集めたり、人脈を構築しておくことがいいだろう。