<はたらく>始業前出勤 強制か心掛けか 「出勤遅延未遂」責められた駅員が自殺
この記事を読んだ。
JR東海で男性社員が自殺した件について取材しているのだけれども、その経緯がまさにブラック企業のお手本になるような事例だった。
この会社は定時一時間前出社を奨励されていたそうだが、
ある日男性が定時20分前に出勤をしたことで「出勤遅延未遂」ということで責められたということだ。
遅刻未遂とはなんだ?
遅刻をしていないではないか。
また、せめられていることからもこれは奨励ではなく強制である。
記事でも書いているが、企業の指揮下に置かれる時間は労働時間である。
一時間前に出勤してほしいならば、定時を一時間前にすべきである。
一時間前に出勤して準備をすることで電車の運行が遅延しそうな場合なのに余裕のある対応ができるのかもしれないが、
その余裕は社員個人に課すのではなく、会社側が人員に余裕を持たせるなどの対策が必要だ。
外国人が日本に来て、「日本人は時間を守らない。出勤には厳しいのに定時終了にはルーズだ」と言っていたという話が有ったが、
この場合はさらにルーズだ。
定時開始時刻を会社側が守らないとは(恐らく他の企業と同様に終了時刻も守っていないだろう)、時間にルーズな会社だ。
定刻の運行は重要だろうが、時間に厳しいのは外面だけで内面はルーズだ。
(難易度が高いという意味の)厳しい事は必要?
それとも時間に厳しいという意味を間違っている可能性もある。
つまり時刻を守るというのではなく、守る難易度が高いという意味で「時間に厳しい」と思っているのではないか?
難易度が高いことを課して守らせるということが好きな企業や人がいるが、難易度を高くさせることに意味はない。
たとえば、達成できないノルマや、私生活を制限せざるを得ない残業などだ。
だけれども難易度を高く厳しくしても意味はない。
難易度が高いというのは、問題点だ。
一定の売り上げが無いと赤字になるかもしれないが、達成できないノルマを課すよりも事業を多角化したり、商品に魅力を与えたり、売り方を変えたり
そういう企業全体で難易度の高い部分を効率化していくことが大切だ。
JRでは日勤教育が問題になったけれども、
そのような罰によってミスが軽減されるわけではなく、
ミスが発生する根本を合理的に解決することが理性的だ。
労組は何をやっている
それにしても鉄道会社は労働組合が強いというイメージだが、企業体質は労働者に優しくない。
かれら労組がやっていたことは、主に共産主義のイデオロギーに関する事が多かった。
今回のような問題のある労働環境というのは共産主義社会を思い起こさせる。
僕の勝手な想像だけれども、かつての労組はこのような労働環境を望んでいたのかもしれない。
何にせよ、このような労働環境に関しては末端が辛い思いをするくらいならば
労働者に認められている労働三権を行使してもいいし、
ストだってやるべきだと思う。
かつての労組はゼネストをして市民の顰蹙を買った。そして労組の活動は左翼活動と結び付けられることになった。
その為に今は純粋な労働者のための労組の活動がしづらくなったのかもしれない。
だけれども、労働者が経営者にたいして対等に発言し、社会に発信していくことは
風通しを良くし、労働市場も円滑に回るし、労働環境も少しは良くなると思う。
ブラックは無くなるか?
このような企業の問題は中々解決できないだろうな。
主義主張を簡単に改める人はいないだろうし、指揮する立場の社員が社畜的思考だったら会社は変われない。
やはり、違法労働に対して厳しく行政罰や刑事罰を科して
「違法労働しないほうが良い」から「違法労働はできない(やったら終わり)」というように変えていくことが近道で確実な方法だ。