女性手帳のニュースを聞いて、結婚出産について考えてみた

少子化対策で女性手帳を配布するというニュースを先日知った。

晩婚化が進み少子化社会になった現状を改善するための対策として、30代前半までの妊娠出産を推奨し啓蒙するために配布するそうだ。

果たして効果はあるのだろうか。
妊娠適齢期や高齢出産のリスクを啓蒙するようだけれども、ほとんどの人は知っているのではないか?
そして、その妊娠出産の適齢期を各々が知った所で晩婚化が進んだ原因をどうにかしないことには解決しないのではないか?

20代での結婚

35歳までが適齢期といっても、35ギリギリでも大丈夫というわけではなく、リスクは漸次的に増えていくのだし、
結婚、妊娠、出産がスムーズに行くとも限らないのだから、20代での結婚が望ましい。

結婚までの交際期間としては1〜2年が最も多いらしい。
ということは28歳くらいまでに結婚できそうな人と交際している事が望ましいだろう。

四年生大学卒業して新卒入社した場合、それまでにおよそ6年間か。
長いと見るか、短いと見るかは人次第といったところだな。

結婚前提交際まで6年とはいっても、それは政府が望んでいるギリギリのラインだとは思う。
最近の女性の平均初婚年齢は28歳なので、それよりも下に下げたいところだろうから。

例えば25歳,26歳前後で結婚するとすれば、入社3〜4年目ということになる。
もちろん全員が四年生卒業しているわけではないが、女性の雇用も増えて男女が平等に働ける社会に近づいたということで
このようなモデルを使用している。

25〜26はようやく仕事も軌道に乗ってきたというところで、中々出産にも踏ん切りがつかないような時期ではないだろうか。

そう考えると、一口に晩婚化対策と入っても初婚年齢を下げるというのは中々難しいところがありそうだ。

現状では働く女性を増やすという事と、晩婚化の対策というのはトレードオフの関係に近いのではないか?

かつての結婚と出産

ちょっと前までは結婚は人生の計画に織り込み済みの社会制度だった。
ちょうどいい年齢になれば、親や親戚がどこぞから良い話を見つけてきてお見合いをさせて、結婚が成立する。
親がすべて決めるパターンだって珍しくない。

そこには恋愛とか個人の感情よりも、人間かくあるべきという決まりと家や仕事のつながりなどの社会が重要視されていた。
恋愛結婚が当たり前になったのはつい最近のことだ。

親や会社が干渉してこない時代になったのは個人的には喜ばしいことだけれども、
結婚が恋愛と強く結びついたことによって結婚までのハードルが上がった。
誰もができるわけではなく、運と実力が前にもまして必要になったわけだ。

勿論、いまでもお見合いもあるし、婚活などの方法もあるが、
結婚への強制力が薄くなったために結婚をしない選択をする人も増えた。
もしくは極めて打算的に損得勘定で結婚を決める人も増えた。

その頃のように価値観が戻れば再び婚姻率も増えて、晩婚化も解消されるだろうが、
時代がそれを許さないだろう。

子どもというコスト

結婚が自由になったからという理由の他に、少子化の原因としては育児の問題がある。

コストというと酷い言い方だけれども、実際問題世知辛いコストの面を重視して出産を先延ばしにしているカップルもいるだろう。
とにかく育児には金がかかる。
最近は夫婦共働き家庭も増えているが、両方の収入が家計の助けになっている場合、妻が稼ぎから抜けると家計が苦しくなる。
特に20代の夫婦の場合、夫だけの稼ぎでも平均で年収400万を下回る。

出産の補助がでるとしても、それらは本当に一時的な金でしかなく、
手当も僅かだ。
育休期間をなるべく短めに取ったとしても、待機児童になる可能性もあるし、よしんば働いたとしてもフルタイムで働けるわけではない。
育児にかかる費用は増えるが、年収が下がる現実に特に収入の少ない20代では出産に躊躇する事が多いと思う。

一人目ならば20代でもまだまだ問題なくできるカップルは多いほうだろう。
だが二人目ともなると、幼稚園に入れつつ育休に入るという二重の支出と年収減が生じる。
だから二人目を躊躇する可能性は大きい。
そして一人っ子だけが増えていても少子化の対策にはならないのだ。

知り合いに、夫婦共働きで4人の子どもを生んだ家族がいる。
少子化対策にも女性の社会進出にも貢献している家族だけれども、旦那さんが誰もがしっている有名外資で働いていて
奥さんも関連企業で働いているという、世帯収入で言えば中流以上だからこそ可能だったのだろう。

夫の充分な収入的なバックアップが望めない日本に多くいる中流以下の世帯では厳しいかもしれない。

どうすればいいか考えた

どのように現状のトレードオフの関係を解消するか。

それは若い頃に結婚出産をしても負担にならない事が重要だろう。

雇用の安定化と給与の上昇により、夫一人でも世帯を回せるような年収にする。
待機児童を解消し、負担を感じさせないほどの低額で利用できるようにする。
などの対策が必要だろう。

更に、学生時代からの結婚、出産にも肯定的になるというのも必要ではないか?
ロシアでは主に女性は大学生のうちに結婚するとか聞いたことがある。
適齢期だからだそうだ。

学生が結婚をしてもそれほど金銭的な問題はないが、学生結婚に眉を顰める人が多いのも事実。
もしかしたら就職に響くかもしれないという人もいる。
そのような価値観を排除して、若いうちに結婚するのもアリだという選択肢を増やす。

だが、出産ともなれば時間的、金銭的な負担が出てくる。
それについては公費でまかなえるようにして、実質負担金がかからないようにする。
今まで企業や健保が負担していた物を国が巻き取るような感じだ。

育児にかかる時間は、育児休学などで大学を休むことを可能にする。
就職時の年齢が上がってしまうが、新卒至上主義を解決して就職浪人も別け隔てなく門戸を開くことを企業に義務付ければ解決するだろう。

女性の雇用が増えているが、進学卒業雇用までの流れは男性のそれと同じ流れだ。
だが、女性は出産という大きなイベントがあるわけで、男性の20代とは違う歩み方が必要だ。
企業には育児休暇などの制度もあるが、それは企業に入ってからであって社会全体での保障とは言えない。
若いうちに結婚、出産もして働くことにも影響を少なくするような仕組みが必要だ。

 

スポンサードリンク

関連コンテンツ